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あいちけんさいばいぎょぎょうせんたー

愛知県栽培漁業センター

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運営会社:愛知県農林水産部水産課地図

種苗生産 愛知県田原市小中山町一膳松1番地3

おすすめ度
おとな
こども

factoris独自のおすすめ度ですので目安程度に!

公開日:2019年02月09日 更新日:2020年10月04日

現地見学レポート

愛知県にはその名の通り、栽培漁業を専門に行っている施設(愛知県栽培漁業センター)が渥美半島の先にあり、見学を受け入れていらっしゃるということでしたので、平日に予約をして見学にお邪魔してきました。

栽培漁業とは?

そもそも「栽培漁業」という言葉、あまり聞き慣れませんね。

栽培というと農業のイメージがありますよね。

生産する稚魚や稚貝も「種苗」といって農業的な用語を使われていらっしゃいます。

栽培漁業とは、卵から稚魚になるまでの最も弱い期間を、人間の手で育て、ある程度大きくなった段階まで生育することを指します。

「農水」と言われるように、農業と水産業は同じ役所の中の部署で、おそらく農業が先に安定的に生産、収穫するための手法が確立され、それを漁業にも応用したことから用語が「農業的」なのだと思われます。

養殖とは違うの?という質問もあるそうですが、養殖は成魚まで育てて出荷することを指します。
おおまかに「栽培漁業=稚魚の生産」「養殖=成魚の生産」と理解しておけば良いです。

予備知識はこれぐらいにして、現地の様子などお伝えしていきます。

アクセス

一面のキャベツ畑
一面のキャベツ畑

渥美半島の先端にあります。豊橋から約42kmほどの距離にあり、車でも1時間15分ほどです。

渥美半島の先端には鳥羽までのフェリーもでており、伊勢神宮へのアクセスとしても便利です。

自動車で西に向かって走りましたが、田原市の市街地を抜けると民家もまばらで、西に進むほど一面キャベツ畑が広がっていました。栽培漁業センター周辺もまさにキャベツ畑の中にあり、当日(2月上旬)は収穫期で、農家の方々が忙しそうに収穫されていました。

受付

入口の門
入口の門

キャベツ畑に隣接するように敷地があり、門を通って施設建物へ進みます。

駐車場は、見学者専用の駐車場がありますので、そちらに駐車可能です。

建物外観
建物外観
見学者駐車場
見学者駐車場

本館へ入り、1階の受付で見学者であることを伝え、受付表に氏名や住所、連絡先を記入します。

一応、見学は事前に連絡済みですが当日連絡でも大丈夫そうな雰囲気でした。

受付を済ませると、西側の展示棟へ案内されました。

展示棟

展示棟は、壁に施設や愛知県の栽培漁業についてのパネルが設置されています。当日は、PCでのスライドで丁寧にご説明いただきました。

見学者は私1名でしたので、担当の職員さんが専属のようにご案内してくれましたので、もし可能であれば複数名で伺った方が施設側の負担も少なかったかなと反省しています。

愛知県栽培漁業センターは約40年前に設立され、現在は約13名のスタッフが土日も交代で各種の種苗の生産を行われています。 スライドでは、本施設で主に栽培されているトラフグと車エビを題材に、どのように栽培されているのかを中心に解説いただきました。

生産された種苗は一旦、愛知県に納品され、その後愛知県の各地で放流されます。

愛知県や静岡県の浜名湖近辺でも近年はトラフグが特産として飲食店などで提供されていますが、安定して収穫できるようにこういった施設で稚魚まで育て放流されているとは全く知りませんでしたの、興味深く拝見いたしました。

また、生産される魚や貝の種類はやはりある程度の市場性(値段が高い)ものでないと、事業の採算が取れないということで、車エビ、ガザミ、クロダイ、鮎、アワビ、ナマコ、トラフグ、ヨシエビが生産されています。

以前は赤貝の生産も行っていたそうですが、市場の要望などを反映して、生産される種類は変更があるそうです。

場内へ

スタッフが十数名で管理されているとは思えない程巨大な水槽が並んでいます。

車エビの水槽(夏季に生産)
車エビの水槽(夏季に生産)

2月は最も生産される種類が少ない時期とのことで、鮎の稚魚とアワビの水槽を遠くから見学できました。

冬季は生産される種類も少なく、暇なんだろうなあと思い質問したところ、冬季は機器のメンテナンスも多いようでした。

確かに40年経過した施設なので、全体的には老朽化している印象でしたので、日々のメンテナンスは苦労されるだろうなと実感。

アワビの水槽
アワビの水槽
給水施設
給水施設

生産に使用するには「海水」「真水」が必要です。

海水は250mほど沖からパイプを通って施設まで引いており、真水は地下水を使うそうです。

鮎は海水で育ち、段々汽水(海水+真水)に慣らす必要があり、上記を混ぜて利用されています。

まとめ

愛知県の魚はクルマエビ
愛知県の魚はクルマエビ

合計で約45分ほど、職員さんにつきっきりでご案内いただきました。

公職とはいえ、ただの県外の一般人に1時間も割いていただき感謝です。

以前は小中学校の教科書に「栽培漁業」の項目があり、社会科見学も多かったようですが、最近は少し落ち着いているご様子でした。できれば、夏季に数名で見学するとより楽しめると思います。

安定した漁業収穫の為に稚魚を育てて「最終的には放流する」という事業は、中々民間ではできにくいと想像できます。

そういったところを陰ながらこういった公の施設が支えているということを実感でき、楽しませていただきました。

静岡県にも「静岡県温水利用研究センター」という同様の施設が御前崎にあるのでそちらも伺ってみたいです。

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