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factoris独自のおすすめ度ですので目安程度に!
公開日:2019年10月20日 更新日:2020年10月04日
現地見学レポート
お酢や味ぽんで有名なミツカンが創業の地、愛知県半田市に設立した博物館です。元々は「酢の里」という名称でしたが、2015年のリニューアルによりMIM(MIzkan Musiam)となりました。
ミツカンは子供のころからCMや店頭でお馴染みの食品メーカーですが、地方の少し大きな食品メーカー程度のイメージで伺ったのですが、いやはや巨大な企業でした。
息子に「味ぽんの工場と博物館に行こう!」と誘ってきたのですが、想像以上にミュージアムにふさわしい非常に作り込まれた施設でした。
カップヌードルミュージアムもそうですが、大手企業は昔ながらの工場見学から、より分かりやすく楽しんで自社を知ってもらう工夫として博物館化しているように思います。
いわゆる「現場」を楽しむ工場見学も楽しいですが、こういった整った施設も違った楽しみがあります。
特に飽きない演出や工夫が非常に盛り込まれていますので小学生でも十分に楽しみながら見学できますのでおすすめです。
小学校4年生の息子も、飽きずに最後まで90分楽しませていただきました。
見学の際には、建物の中をぐるりと1階~2階を一周しますので、歩きやすい服・靴で伺いましょう。
ミツカンとは
1804年創業の食品メーカーです。元々酒造メーカーでしたが、江戸で飽和状態であったお酒の代わりに、当時流行していたお寿司(早寿司)向けにお酒を原料としたお酢を大量に販売し、成功したことが現在の基礎となっています。
近年は納豆事業にも進出し、大きな柱となっているようです。
ちなみに最近は海外展開が進んでおり、売上構成の約50%ほどが海外売上というグローバルな企業でもあります。海外ではお酢以外にもパスタソースなどの企業を買収し、拡大されているそうです。
売上2,000億円を超える企業ですが、非上場で創業家である中埜家(なかのけ)の同族企業という一面もあります。
アクセス
名古屋市の南、知多半島の中心に半田市があります。知多半島の西側に中部国際空港もあり、交通の要所という面もあります。
MIMはJR半田駅から徒歩3分ほどの距離にありますので、電車でのアクセスはかなり良いです。
私たちは名古屋方面から自動車で南下し、次第にのどかになる風景を楽しみながら伺いました。
電車を利用の場合
・名鉄河和線「知多半田」駅下車徒歩13分
・JR武豊線「半田」駅下車徒歩3分
自動車を利用の場合
・名古屋市内より約1時間
・知多半島道路「半田中央IC」、または「半田IC」より15分
駐車場は第1駐車場、第2駐車場とあり豊富に無料で駐車できます。
MIMの入口に近いのは第1駐車場ですが、満車の場合は第2駐車場に誘導されます。
私たちは第2駐車場に停車しました。入り口の受付までは橋を渡って徒歩3分ほどです。
立地
江戸時代の中期から現在の半田市周辺は醸造業が発展しました。
そのため、商品を大消費地である江戸へ運ぶため、水路を利用する必要があり、半田運河のある海沿いに蔵が並んでいます。
ミツカンミュージアムも半田市の中心地にほど近い、知多半島の東側の入江にあります。
運河沿いに大きな黒い蔵が並ぶ風景は、お酒やお酢といった醸造品が莫大な利益をこの地にもたらしたことを感じさせてくれます。
受付
ミツカンミュージアムには2つの見学コースがありますが、完全予約制です。
かならず事前にインターネット予約を済ませてから伺いましょう。個人での予約は「インターネット予約」のみとのことです。
見学コースには
・全館コース(約90分)
・大地の蔵コース(約30分)
の2つのコースがあります。
全館コースは、「大地の蔵コース」に60分のガイド付きの見学がプラスされます。
時間に余裕があれば、「全館コース」をおすすめします。
運河側に入口があります。
中に入ると右手に受付がありますので、受付のスタッフさんに名前と見学予約時間を伝え、料金を支払うと首からかけるプレートが渡されます。
料金は、全館コースで300円(大人)、大地の蔵コースは100円(大人)と非常にリーズナブルです。
こちらでミツカンミュージアムの公式アプリの説明があります。 「大地の蔵」ではガイドさんが同伴しない為、公式アプリで音声ガイドを利用することができます。
Google Play
MIZKAN MUSEUM公式アプリ
App Store
MIZKAN MUSEUM公式アプリ
現地でFree Wi-Fiでダウンロード可能ですが、事前にインストールしておいてもいいですね。
大地の蔵
受付を済ませてから左手2Fに大地の蔵の入口があります。
大地の蔵1
江戸時代からのお酢づくりの過程・様子を見ることができます。
静置醗酵室
お酒を発酵させてお酢に変える酢酸発酵の過程を見学できます。
お酒をお酢に変えるには、酢酸菌と空気が必要です。静置醗酵は、空気を機械で人工的に送り出すことなく、自然に空気に触れる面がゆっくりと酢酸に変化していく昔ながらの製法です。
道具の廊下
お酢づくりに用いられた様々な道具が展示してあります。
また、お酢づくりに重要な水を確保するため、ミツカンが独自に敷いた木製の水路の展示も見ることができます。
大地の蔵2
こちらは体験型の展示室です。
原料によるお酢の香りの比較や、江戸時代の樽の運搬、内容量を音で確認する方法など体験できます。
こちらはスタッフさんが配置されて丁寧にご説明いただけます。
大地の蔵コースの見学はここまでです。
所要時間およそ30分です。
風の回廊
ここからが、全館コースのエリアです。
明治から昭和初期の半田の街の風景や、運河、往時のミツカンの蔵などを見ることができます。
印象的な青地の暖簾(のれん)は、半田の山車の法被をモチーフにしたもので、30点以上展示されています。
時の蔵
ガイドさんの解説が始まります。
真っ暗な部屋に案内され、3Dマッピングで映し出された非常に大きな「弁才船(大型の木造船)」が目の前に現れます。
弁才船の周りにはミツカンの創業から現在までの歴史や出来事などの展示があり、ガイドさんの説明と共に歩みをすすめます。 一通り、1階(弁才船を下から)見学した後に、2階へ上がり弁才船の甲板へ上がります。
甲板から巨大にスクリーンに映し出された、当時の運搬の様子を映像で観ることができます。音に風の効果もプラスされて中々凝った演出で、子供も大変喜んでいました。
こちらの時の蔵がこのミツカンミュージアムの中心施設かなと思います。
水のシアター
ミツカンには「やがて、いのちに変わるもの」というグローバルビジョン・スローガンがあります。
ミツカン シンボル・スローガン
2004年に現在のmizkan(旧mitsukan)に一新されたときに、つくられたスローガンです。
ちなみにこのコピーは岩崎俊一さんという著名なコピーライターが制作されました。
水のシアターでは「やがて、いのちに変わるもの」を、10分ほどに表した映像を映画館形式で観ることができます。
スローガンに込められた想い、ミツカンの基本的な姿勢が表現されていると感じました。
光の庭
見学最後の部屋です。
お寿司や鍋をテーマとした体験型の施設です。どちらかというと子供向けの遊び場に近いですね。
お寿司の握り体験(ごはんは紙粘土)やマイポン酢(200円/1本)などが並びます。
マイポン酢は、いわゆるプリクラ的な施設で、プリントされたラベルを小さなポン酢の瓶に張り付けることでオリジナルのポン酢を作ることができます。
全館コースの見学はここまでです。
売店(ミュージアムショップ)
ミツカンのオリジナルグッズが多数販売されています。
よくあるクリアファイルから、付箋やメモ帳やお寿司の消しゴムなど文房具系も豊富です。
私は息子のお土産に文房具類と、ミツカンが江戸時代に江戸に販売していた「山吹」というお酢の復刻版を購入しました。
この商品はミツカンミュージアムのみで限定販売されているそうで、500ml(700円くらい)と1000ml(1000円くらい)を買うことができます。
後日自宅で握りずしの酢飯として利用しましたが、山吹の名の通りの色具合と、少し味噌を感じさせるような深い香りと味は非常に美味しく、江戸のお寿司として人気があったことを感じることができました。
まとめ
それほど大きくない地方都市の半田市に、よくここまでの施設を作ったなという、大企業の底力を感じました。
随所に子供から大人まで楽しめる工夫や演出が施されており、かつ、ミツカンの歴史や姿勢を十分に感じさせてくれる博物館です。
入場料も安価で所用時間も最大90分と、気軽に楽しめます。
一方、展示の豊富さに比べて、閲覧に割り当てられた時間が少し短いため、じっくりと展示を楽しみたい方(特に時の蔵)には時間が足りないかな思います。
子供連れでさっと楽しいところだけ見学するには、十分ですが、個人的にはもう少し見て回りたかったかなという気がします。
是非、お出かけしてみてください。